psi 力ある者 愛の行方 


「血が繋がっていないって。どういうことか解る?」

硬い表情のまま、泉は疑問を投げかけてくる。

「知らないっ」

怒りにムカムカしている私は、プイッと横を向き、投げやりに言い返した。

もう、勝手にしてよ。

この状況を放棄した私に、泉の冷静な声がぶつけられた。

「姉弟でも愛し合えるってことだよ―――――」
「――――っ?! 何言い出すのっ!」

予想もしなかった言葉に驚愕した。

「りくは……陸は、弟なのよ。家族なのっ。変な事言わないでっ!!」

吐き捨てるようにしても屈することなく、泉は更に付け加えてくる。

「未知がそう思っていても。あいつは、未知をそうは見ていない」

開いた口が塞がらない。とはこういうことを言うのだと、私は今実体験している。

泉の言うことに、少しも現実味を感じられない。
怒りを通り越し、呆れてしまうほどだ。

私は言葉を失くしたまま、呆然と泉を見ていた。

「俺には、未知を見るあいつの目が家族を見ている目には見えない。未知を見るあいつの目は、好きなやつを見ている目だ―――――」 

っ!!

気がつけば、弾ける様な音が廊下に響いていた。

私の掌は、ジンジンとし。
泉の左頬は、薄っすらと赤く染まっていた。

数秒の時間が止まった。

「……ごめんな……さい……」

あまりの事とはいえ、泉をぶってしまった。
そんな自分自身に驚きを隠せない。

泉は、ぶたれてもなお真っ直ぐ私を見つめ目を逸らさない。
私は慌てて謝り、ジワジワと血流が流れる右手をぎゅっと握り俯く。

「ねぇ、未知。俺、解るんだよ。未知の事を好きな俺だから、解るんだ。解っちゃうんだよ――――…」

今にも泣き出しそうに震える泉の声。
哀しみを纏ったその声が、耳の奥に住み着いて離れない――――。


< 105 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop