psi 力ある者 愛の行方 


陸が言うキツイというのは、度がキツイってことじゃなく。
表情を冷たく見せている眼鏡の形の事。
それに関して触れずに話を進めた。

「コンタクトは、家に居る時だけなの」
「なんで? 普通逆じゃない? 眼鏡邪魔じゃないの?」

確かに邪魔なんだけどね……。

「もう、ずっとそうしてきてるから……」

自分にある力のことを話すわけにもいかないし、私は深く説明せずに話しを終わらせた。

陸は「ふぅ~ん」と言っただけで、それ以上は訊いてこない。

泉と違ってしつこくないところが助かるな。
関心がないだけなのかもしれないけど。

今までずっと一人で歩いてきた桜並木の道のりを、陸と二人並んで歩くのがなんだか不思議な感じだった。
誰かが隣にいるって、想像したこともなかったしね。

姉弟って、こんなものなのかな?
年頃の姉弟が一緒に登校なんて、普通はしないのかな?
よくわからないや。

真新しい制服に身を包む、隣に並ぶ陸を見る。
少し窮屈そうな首元に手をやり、ネクタイを緩めている。

今までは詰襟だったんだろうか?
それとも、同じようにブレザー?

まだまだ何も知らない新しい家族のことを、これから少しずつでもいいから知っていきたいなと思った。


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