psi 力ある者 愛の行方 
家族のあたたかさ





  ―――― 家族のあたたかさ ――――




午前中、最後の授業になっていた。

授業中の陸は凄く真面目で、ふと見えたノートには、しっかりとした大人のような文字が並んでいた。
それがなんとなく陸らしいな、なんて思う。
多分、引越し荷物を几帳面に片付けていたのを見ているせいだろう。

昼休み。
私は、いつものようにお弁当を片手に立ち上がる。
好奇の視線が降り注ぐ中、机の間を縫いさっさと廊下へ出た。

向かった先は、図書室。
誰も居ないその特別教室のドアを開け、窓際の席へとお弁当を置いた。
それから、いつも読んでいる本を探しに、規則正しく並んだ書棚の間へと入って行く。
目的の本を手にすれば、嬉しくて自然と頬が緩んでしまう。

窓際の席に戻り、昨日読んでいたページまで捲る。
詩織さんが作ってくれたお弁当を広げ、嬉しさにまた自然と笑顔になった。
彩りもよく栄養もちゃんと考慮されたおかず。
その中から、アスパラを豚肉で巻いたものを箸でつまみ口に入れる。

「おいし」

口に出しつぶやいたところで、ガラッと勢いよくドアが開いた。
あまり人の来ないここへの来客とその音に、少し驚いてドアの方を振り返った。
足音は、真っ直ぐ私の方へと向かってくる。

「みっけ」

そういうと、ドカリと隣の席に腰掛けた。

「陸?!」

図書室に入ってきた相手は、できたばかりの弟だった。


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