チャンスの神はここにいる
別れても好きな人


その後は
ショックであまり覚えてないけど

ちゃんごらすがコリアンダーを絶賛し、女子アナにマイクを向けられた亮平君は「また挑戦します」って大きな声を出していた。

番組の残り時間も少なく
生放送はカメラがグラドル達のひな壇に迫り終わる。

ラストに
いい顔できたかな私。

ショックで
ひどい顔してたかも。

「はい終了!」
塚本さんの大きな声が聞こえ、ゾロゾロと人が動き出す。

コリアンダーの沢井君と山口君には、色んな人達が「おめでとう」と声をかけ、その流れを避けるように亮平君と純哉君はこっそり自分たちの楽屋に歩き出す。

「メグちゃん。席変えしても急上昇」

「遠藤と別れたの?」

「猫のかぶりものナニ?グラドルバカにしてんのか?あのハゲ」

素直な言葉を出し
グラドル仲間に私も囲まれたけど
「遠藤とはマジなにもない。ちょっとゴメン。トイレに走る」身をよじらせてトイレに行きたいアピール演技をして、私はブルプラの背中を追いかけた。

足の長さが違うのか
やっと私が追いついたのは
2人の楽屋前。

「あ……」って
気の抜けた声を亮平君は出し

「入れ」と、純哉君は私の背中を押し、狭い楽屋に飛び込んだ。

扉の外では
咲ちゃんの不機嫌声が響き

ちゃんごらすとコリアンダーの笑い声

スタッフの大きな声など

扉一枚を隔て活気づく。

そして私達三人は

静けさに包まれて

消えてしまいそう。


勝者と敗者

こんなに違う。

< 205 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop