チャンスの神はここにいる

「お疲れ様」

今日の番組では
いじられたりキレたり
大きなダミ声のスコアさんだけど

今は穏やかな低い声で私を癒す。

「お疲れ様です」
頭を下げると
ニッコリ笑顔を見せられた。

「生放送だから、色々あるよね」

全てを見透かされた気分。
スコアさんの目はレーダー仕様か

私は返事を出したら泣いてしまいそうなので
ただうなずく。

「俺なんて、残念な事を何百回もやらかしてるから大丈夫。次ガンバロー。レナが応援してる。さぁ早く帰ろう。俺はタクシー出ないんだ」

そう言って
私の身体を追い越して
先に行ってしまった。

本当だ
亮平君の言う通り
スコアさんはキャラと違って優しいね。

レナも幸せになるだろう。


亮平君

顔が見たい。

会いたい。

声が聞きたい。



局の玄関前に用意されていたタクシーに乗り込み、料金メーターの隣にある時計を見ると

もう1時半に近い。

『家に帰ったら電話して』って言われたけど
こんな遅い時間になってしまった。

もう迷惑だから
LINEだけしておこうか。

運転手さんに場所を家の場所を告げ

私はやっぱり
こらえきれなくなって

ちょっとだけ涙を流す。
< 84 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop