その一瞬さえも、惜しくて。

鳴瀬ひかりの真っ黒とは言いづらい
柔らかくて長い髪の毛が

風で揺れているのが横目でわかる。




「おい。鳴瀬。」



窓の外ばかり見つめるから
鳴瀬ひかりはよく先生に当てられる。



先生に名前を呼ばれて
ようやく前を向く。


今は数学の時間だ。





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