完璧上司は激甘主義!?
「終わっちゃった……」

ポタポタと床に落ちていく涙。
床に染みていく様子を見つめながら、さっきまでの情景が頭をよぎる。

本当に終わっちゃったんだ。
意外とあっさりだったかも。……でもちゃんと伝えることが出来た。
そして気持ちは南課長にちゃんと届いてくれた。
良かったじゃない。
きっぱりと終わることができたのだから――……。

「それにしても、これはないよね」

涙を流しながらも手の中にあるキティちゃんを見ると、笑えてしまう。

まるで思い出の品かのように置いていくのだから。

「これ……一生捨てられなくなっちゃったよ」

大好きなキティちゃんと、そして沢山の資料とサンプル。
大好きな人が私のためだけにくれたもの。

絶対に捨てられないよ。
そして一生忘れることなんて出来ない。
南課長に恋していたことを――……。

「今だけっ……」

今だけはいいよね、沢山泣いても。
今日と明日沢山泣いちゃうと思う。……でも月曜日にはちゃんと仕事に行くから。

涙と共に南課長を好きって気持ちも流しちゃうから。

そして月曜日からは、仕事に生きる女になる。

だからお願い。
今だけは許して。……南課長を好きなまま泣くことを――……。
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