別れ道


――長い坂を登る。


加奈子はそれを苦痛とは感じていないようで、煩わしい蝉の鳴き声さえも相手にせず歩き続ける。


坂を登りきった所に広がるのは、この日のこの時間に毎年欠かさず来ている寺。


境内に見覚えのある人影を見つけ、一呼吸おいて足を踏み入れる。


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