カウント・ダウン

「だって傘が見つからなかったの」


君は時々ヘンな事を言い出す。
…傘?

「そ。傘。水玉模様のね、一番気に入ってる傘。見つからなかったんだもん。だって雨が降ってるのにね?」

だから約束した時間に、待ち合わせの場所に、来なかった。
僕は雨の中待ちぼうけ。


「素敵じゃない?ブルーと淡いピンクのね、水玉がね、重なり合って弾けてるのよ。綺麗じゃない?キミにも見せたかったのに。」

君は時々少しズレてる。
僕は雨の中待ちぼうけ。
だけど、そんな事お構いなしで無邪気に話す君が好きだよ。


「ごめんね?」

ケータイから聞こえる君の声は明るく弾んでる。

そう、彼女はいつだって明るく無邪気なんだ。
僕はそんな彼女が大好きなんだ。

だから

水玉模様の君の傘、一緒に捜してあげるよ。
弾ける水玉を君と一緒に見たいと思った。


君はいつも笑ってる。
一点の曇りもなく。


君の笑顔が大好きなんだ。



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