LOVEPAIN⑤

買い物袋を持ちマンションへと戻ると、

エントランスのエレベーター乗り場の前に先客が


それは、篤




「あ、篤さん!

お、お久しぶりです!」


緊張なのか、
声に力が入ってしまう




「お、おう!
ひ、久しぶりだな!」


それは篤も同じようで、
その顔が赤い



きっと、私の顔も赤い




篤に会うのは、あの夜以来



“――だったら、
俺が一晩中側に居てやる――”


あんな事が有って、
意識しないなんて無理だ



私を抱き締めてくれたあの強い力だって、

今も覚えている




来たエレベーターに、
私と篤は乗り込んだ




「最近、何か有ったか?」



「え?」



密室の中、目が合ってしまうが、

篤はもう平常心を取り戻していた



私の顔を、真っ直ぐと見ている





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