私は彼に愛されているらしい
「ねえ、彼氏と何かあった?」

「え?」

核を突くような言葉に思わず声が裏返ってしまい私は慌てて口元を手で押さえる。

ヤバイヤバイ、何だ今の声は。

「あったんだ。…何か揉め事?」

「やだな。何よ急に。」

「だって彼氏の話題になるとテンション低い。」

タライが上から降ってきたかのような衝撃に私は反射的に項垂れた。佳代って相変わらず落としてくるな。

「みちるって分かりやすいのよね。」

「げー…そんなに?」

「まあ、ぼちぼちとね。で、何があったの?」

頬杖付いて身を乗り出してくる佳代はからかう様子ではなく、いいから話してみなさいと受け止める姿勢だった。

なんかそれって子ども扱いじゃない?

でも私にはそれが一番効くってこと、よく分かってるってことなんだろうな。

「倦怠期、なのかなーってさ。」

「ふうん。どうして?」

「ちょっとだけ、なんだけど…よそよそしさを感じるのよ。」

「よそよそしさ?」

「だから、さ。」

自分の中のもやもやが頭を出したりひっこめたりと気まぐれな態度で翻弄してくる。

これってどうなの、口にしていいもの?戸惑う癖に聞いてほしい自分もいて落ち着きがなくなってきた。

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