私は彼に愛されているらしい
「で?で?返事はしたんですか!?」

「いや、してない。」

というか、そんな隙も与えてくれなかったし、そういうことを考えさせてくれる暇も無かった。

「金曜日にご飯に行くことを約束…しただけ。」

「その日までに考えろと!きゃー!!萌えるー!」

絶賛悶絶中の有紗がさらに身をよじらせて盛り上がった。萌えるって何だ?

「なんで萌えるのよ。」

「分かんないけど、カーン!ってきた。ズキューンって!優しさでしょ?それかそれまでに振り向かせる、みたいな。」

「いや。かなり強引だったよ?こっちの言い分全く聞かずに勝手に決めて言い逃げされた感じ。」

「俺様!?スパーンってきた!萌えるでしょ、萌えない!?萌えるって!」

駄目だ、興奮しまくった有紗は完全に自由で言葉遣いもゆるくなってる。擬音語多すぎていまいち理解に苦しむけど舞さんは見せ物を楽しむように有紗を眺めていた。

ああ、この人は壊れた有紗を観察するのが好きだったっけ。舞さんもなかなかの腹黒さを感じさせるな。

「好きです、恋話!楽し過ぎる!」

鼻息荒くガッツポーズで興奮を表す有紗を私は半分うんざりしながら見ていた。しかし舞さんは相変わらず保護者目線で頬杖付きながら半笑い状態。

「若いっていいわねー。」

「今度の合コン楽しみになってきた!よし、私もお花咲かせたい!」

「あんたの頭の中は満開でしょ。」

「違う!なんかそれ意味合いが違います!!」

有紗と舞さんのやりとりを見ながら私は少しずつ冷静さを取り戻していた。

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