私は彼に愛されているらしい
「…来た。」

画面を開いてみれば竹内くんの予想通りに課長からメールが届いていた。しっかりと読んではいないがパッと見で浮かれ度が伝わってくる。

「おーおー。絵文字使いまくりだな。」

そう。ハートこそ遠慮したのか明らかに私用メールだと言わんばかりの見た目に初めて課長の下心に触れた気がしてゾッとした。

気持ち悪い。

そう口にしようとしてなんとか思いとどまった。

私にそれを言う権利はない、これを呼び寄せてしまったのは間違いなく自分自身なのだと改めて痛感する。どれだけ画面を眺めていても全く内容が頭の中に入ってこなかった。

竹内くんも私の変化に気が付いているのだろう。

何も言わず私がどういう態度をとるのか見定められている気分で居心地も悪くなった来た。

これが身から出た錆というヤツか。

「お疲れ様です。お誘い頂いた件ですが、彼に怒られてしまいまして申し訳ありませんがお断りします。」

淡々と聞こえてきた低い声に思わず私は顔を上げた。

「ほら、返信。」

顎でスマホを指すと私は慌てて返信画面を出して操作をする。

「このアドレスも個人的なものなので以後控えていただけると有難いです。」

言われたように文章を作っていくと送信しろと言われ何も考えずに従った。

送信完了、その表示が出て気が付く。

「私、彼氏いないんだけど!」

「嘘も方便つーだろ。そんな反応が返ってきたら最近できたって言ったらいい。」

「本当に?」

「ほら、また来たぞ。」

促され受診のランプが灯るスマホを開くと、さっきよりも絵文字少なめだが同じ様な浮かれ度を思わせるメールが来ていた。

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