君がため惜しからざりし命さへ
05 SUiCiDE




気付いたら
新設の水族館に居た。


吸い寄せられるように曲がりくねった通路を進む。


その先にはイルカの水槽がある と、
直感して。




水槽の前に着いた時、
目に飛び込んできたのは…
石造のイルカだった。


何頭も何頭も何頭も…何頭も。


しかし彼らは石像ではない。


石化していたのだ…。


体は ところどころ ひび割れていた。






"どうして こうなってしまったのでしょうね?"




呆然と立ち尽くしていると、
ライターの女性が怪しげな光を目に宿して言った。


私は怖くなって…
走り出した。


長い長い水槽の中に…
数え切れない石のイルカが続く。






やっと抜け出した時、
そう、
次の水槽が何なのか確かめよう とした その時、
今度 私の目に飛び込んできたのは……







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