音〜聴覚を失った女の子の物語〜
走ってきた道を戻ろうと振り返る。



来た道を戻ろうと振り返る。




目の前には道を外れて私に向かってくるトラック。


「え。」



キキキキキキキィィーー………








なにが起こったの?



たぶん、私トラックにぶつかったんだ。

全身が痛い。熱い。フワッと体が浮く感じもした。





なんだろう、あんなに痛かったのに
なにも感じない。
痛みも苦しみも。
意識が遠のきそう。

ん?そういえば、なんで私はこんなところにいるんだっけ?

まぁ、いいや。もう、なにも考えたくない。


今日はたくさん走ったなぁ。疲れた。

すぅっと眠気が来て……………

気持ち良く眠れ……





あれ……?



私の手を握って泣きそうな顔した人。
あったかいな。



でもどうしてかな。
死ぬわけでもないのに。
私はねむいだけだよ。


今日はゆっくり時間が過ぎて行った。





私の意識はここまで。
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