初恋はカフェ・ラテ色

太一の驚き



4時間後、私は自分の部屋で洋輔さんのことを考えていた。

洋輔さんが私を好きになってくれていたなんてまだ信じられない。でも、何度もしてくれたキスは本当にあったこと。車から降りるときも、これ以上ないくらい優しいキスを落としてくれたし。

「あーダメっ、顔が緩んじゃう」

明日からどんな顔して会えばいいの?

ドレッサーの前でにやけてしまう顔を両手でパンパンと軽く叩いたとき、ドアの叩く音と共にお母さんの声がした。

「心春、ちょっといい?」
「いいよー」

お母さんが部屋に入ってくる前ににやけた顔を引き締める。

「どうしたの?」
「えぇ……ちょっと……」

そう言ったきり話しだそうとしないお母さんに小首を傾げて見る。

「何か言いづらいこと? あ! そうだ! これ」

ベッドの上の富士山おせんべいとサブレの箱をお母さんに手渡す。洋輔さんが五合目の土産物売り場で買ってくれたものだ。

「富士山? どうしたの? これお土産じゃない」

渡した箱を怪訝そうに見ている。

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