初恋はカフェ・ラテ色

太一のお見舞い

「私はずっと……洋輔さんしか見えていないから……」
「ずっと想っていてくれてありがとう」

手の甲にキスされ、そしてもう一度唇が塞がれた。

「こんな場所でプロポーズするとは自分でも思っていなかったよ。心春のことになると見境がつかなくなる」
「私はどこでもいいの……どんなところでも幸せ……」
「可愛すぎて腕の中に閉じ込めておきたいよ」

車の中ではどうにもできない歯がゆさがあるみたいに洋輔さんは薄く笑う。

「帰ろうか」

まだこうしていたい気持ちもあったけれど、気づけば割と人通りのある通りだった。
サラリーマン風の男性がこちらに向かって歩いてくるし、自転車に乗った学生も。

なんて場所でキスしちゃったのっ!?

そんなことを考えているうちに、車は静かに動き出した。

まだ早いけれど、結婚式はどんなところでしたいとか、教会か神前式かの会話で盛り上がる。

30分後、家の前に車が停まり心地よい会話は終わった。

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