初恋はカフェ・ラテ色
「心春、洋輔くんとは上手くいってるのかい?」
「うん。上手くいってるよ」
「そりゃ良かった」

お祖母ちゃんは心から嬉しそうな笑顔を私に向けてから、少し腰の曲がった身体で玄関を出て行った。



「ありがとうございましたー」

年配の男性のお客様が店を出て行くのを見送る。

「今日は水羊羹が良く出るね」
「そうね。夏は水羊羹や、くずまんじゅうがのど越し良くて売れるのよ。そろそろなくなるからもらってきて」
「えっ!」

お父さんとあれ以来顔を合わせていないし、順平さんとも会いたくないのに……。

「ほら、お客様が来ないうちに行ってきなさい」

お母さんに背中を軽く押されて、工場へ足を向けた。

工場へ入ると、お父さんが椅子に座って休んでいた。その横に順平さんもいてなにやら話し中だった。

私を見ると順平さんがさっと立って近づいてくる。お父さんはというと、ぷいとあさっての方向に顔を向ける。

まったく子供みたい。

そう言う自分も、まだあの話を引きずっているから態度がぎこちないと思うし、顔も引きつっているかも。

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