初恋はカフェ・ラテ色
お店の準備するお母さんの代わりに食器洗いと掃除機をかけ終わると、縁側に腰掛ける。

ずっと今夜のことばかり考えている。

辛抱強く話し合わないと……ううん、辛抱強く話してもあのお父さんのこと、頭ごなしに洋輔さんを突っぱねるに違いない。

「はぁ~」

何度も何度も重いため息が口から洩れる。

「心春、なにをため息ついているんだい?」

お祖母ちゃんだった。

座布団を持って近づいてきて、縁側に置くとその上にちょこんと座る。

「ため息を吐くたびに幸せが逃げていくんだよ」
「……知ってるけど……出ちゃうんだもん」

投げ出していた足を縁側に乗せてお祖母ちゃんの方を向いた。

「洋輔くんのことかい? さっき治夫が怒鳴っているのが聞こえてきたよ」
「うん……どうしても洋輔さんと結婚したいの」
「ずっと好きだったからねぇ。心春は一途な子だよ」

お祖母ちゃんの優しい笑みとそっと肩を撫でられて、目頭が熱くなりポロポロ涙を流していた。

「他の人じゃ嫌なの。他の人なんて考えられない。洋輔さんと結婚出来ないのなら一生独身でいる……」

お祖母ちゃんは黙ってしばらく背中を撫でてくれていた。

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