初恋はカフェ・ラテ色
「洋輔さんはお酒強かったんだね。知らなかった。お父さんの方が先に酔い潰れちゃうなんてびっくりした」
「俺は嬉しい酒で、お父さんはつらい酒だったからね。気分によって酒の回りが早すぎる時もあるんだ」
「そうなんだ……」
「お祖母さんは粋な人だね。下町の気風のいい人で、助かったよ。お祖母さんが口添えしてくれなかったらおそらく許してもらえなかったな」
「お父さんはまだまだお祖母ちゃんに頭が上がらないね」

ふふっと笑ってしまう。

「きっと俺も心春には頭が上がらないんだろうな」
「えっ!? そ、そんなことないよっ。私は夫をたてる良妻賢母になるんだから」
「良妻賢母か。そうだね。心春は絶対に良い奥さんで子供の良いお母さんになるよ」
「本当にそう思ってくれるの?」
「もちろん」

優しい微笑みの後、食むように唇が塞がれ、それから名残惜しそうに額にキスが落とされた。

「終電に間に合わなくなるから、もう行くよ」
「うん。気をつけてね」
「おやすみ。ほら、早く家の中へ入って」
「はーい。明日は開店前に行くね!」

私が家の中に入らないと洋輔さんは気になって帰れない。軽く手を振ると玄関へ戻った。

2秒数えて玄関から顔を出して、急いで門扉を出る。

商店街から駅に向かう洋輔さんの後姿が見えた。

こうやって見送らなくても済むように早くなりたいな。

結婚が決まったせいか、心が踊り出すような嬉しさがあるけど、大好きな人を見送るのはなんだか切ない。

< 245 / 263 >

この作品をシェア

pagetop