初恋はカフェ・ラテ色




ヒュルルルルル――パパーン――

色鮮やかで大輪の花を咲かせる花火が、夏の夜空に浮かんでは消えていく。

「すごーい! 今の大きかったね!」

花火の音がすごすぎて、洋輔さんとの会話もままならない。背伸びをして洋輔さんの耳に近づける。

「こんな間近で花火を見たのは初めてだよ」

周りはおしくらまんじゅうとまではいかないけれど、すし詰め状態で身動きするのも大変だ。

帯が崩れないか心配だったし、あまりの人の多さに汗も掻いている。可愛い金魚のうちわで涼めもしない。

こんなの想像していなかったよ。

テレビなどでは毎年ここの花火大会は大勢の観客でごった返していると報道されていたけれど、まさかここまでとは思わなかった。

ふたりでゆっくり花火鑑賞……なんて理想はガラガラと崩れた。

「どうした? 疲れた? それともお腹空いた?」

黙り込んでしまった私に洋輔さんは顔を近づける。不意に近づく端正な顔に心臓がドクッと跳ねる。

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