初恋はカフェ・ラテ色
洋輔さんは私の手首を掴むと歩き始めた。

カフェに行く方向じゃない。

「洋輔さんっ、どこへ行くんですか?」

大きな雨粒が顔にあたるよりも、今は洋輔さんに手首を掴まれていることの方が気になる。

「すぐに乾かさないと風邪をひくだろ」
「乾かす……?」

3分くらいしか歩いていないのに、足元は水たまりが出来るくらいびしょ濡れになった。

私の手を掴んでいる洋輔さんの白いワイシャツの袖も、肌の色が見えるくらい透き通っている。

大きなマンションのエントランスで手首を掴んでいた洋輔さんの手が離された。

そこは洋輔さんの住むマンションだった。築5年の駅前の高層マンション。

洋輔さんがこのマンションに5年前から住んでいるのは知っていたけれど、一度も訪れたことがない。

「ここは洋輔さんのマンションじゃないですかっ」
「まさか店の乾燥機で乾かせないだろう?」

ポカンとなっている私に洋輔さんはさらっとした笑みを向ける。

それから屋根があるのに開きっぱなしになっている私の傘を取り上げ畳むと、再び手が握られた。
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