初恋はカフェ・ラテ色
これから洋輔さんの部屋でふたりきり。嬉しいような恥ずかしいような、そして胸はドクッドクッと暴れはじめていた。

ゴクリと唾を飲み込むと、ガラスドアの向こうで待っている洋輔さんに近づいた。


玄関で待っていると、先に部屋に入った洋輔さんがタオルを持って来てくれた。

しずくが垂れない程度に拭いてから上がり、すりガラスのはめ込まれたドアの向こうへ行くと、雨模様の空が飛び込んできた。

リビングを囲む全体がガラス窓で、お天気だったら気持ちのいい眺めの良い景色が見られたはず。

洋輔さんの部屋は30階建ての高層マンションの20階だった。

20畳ほどのリビングは我が家の超和風のリビングとは全く異なり、座り心地のよさそうなソファと大画面のテレビ。その横に本格的なオーディオセットが配置よく置かれている。

このソファに座って音楽を聴く洋輔さんをおもわず想像してしまう。

タオルを髪にあてながら部屋を見ていると、洋輔さんに薄いピンク色のワイシャツが手渡された。

「俺の寝室でこれに着替えておいで」

パリッとした真新しいワイシャツだった。



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