初恋はカフェ・ラテ色

ハート模様のカフェ・ラテ

庭いじりしていたのもきっと順平さんを待っていたんだ。お刺身もたくさん買ってくるなんて、順平さんを誘う計画をしていたに違いない。

私の口から深いため息が漏れる。

「楽しかった?」
「楽しいとかじゃなくて……」

お母さんに聞かれ肩をすくめる。

廊下に視線をやり、まだお父さんと順平さんが入ってこないのを確認してから口を開く。

「お父さん、急にデートしろってどうしちゃったの? しかもお金は出すし」
「さあ?」

なんとなくとぼけている感が否めない。シンクの方を向いてしまったお母さんに違和感を受ける。

「食べたら洋輔さんのところへ行ってくるから」

後ろから声をかけると、お母さんは包丁の手を止めて私を見る。

「食べたらって、遅い時間じゃないの」

洗面所に足を向けようとすると、お母さんのきつい言葉が飛んでくる。

「だって、今日はゆっくりして来ようと思っていたのに予定が変わっちゃったから」

立ち止まり振り返ると、お母さんは顔をしかめていた。

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