初恋はカフェ・ラテ色

我慢しない

「これからはいつでも描いてあげるけど?」

ええっ? これからはいつでも……?

「今まで……描いてって言ってもダメだったのに……?」
「ああ――いらっしゃいませ」

大事なところだったのに、カウンターの隅に仕事帰りらしいスーツを着たキレイな女性が座って話が中断してしまった。

「洋輔さん、アイスコーヒーお願いします」

よ、洋輔さん? 

親しげに名前を呼ぶ女性を思わず見てしまう。私の視線にも気づかず、女性は洋輔さんに笑顔を振りまいている。

「最近来てるんだよ。お前と一緒でオーナーに気があるの見え見えだな」

太一が腰をかがめて私に耳打ちすると去っていく。

「そうなんだ……」

去っていく太一の後姿に小さく呟いてカップに視線を落とす。

洋輔さんがモテるのは仕方ない。あれだけのイケメンでルックスも完璧なんだから女性だって放っておかない。それはわかる。気持ちを落ち着かせるにはそう思うしかなかった。

キレイな女性の注文を洋輔さんは作り始めている。

「洋輔さん、ガムシロもミルクも要りませんから」

そんな女性の声が聞こえてくる。

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