一途な彼は俺様モンスター
「私…お兄ちゃんのせいで、昔の記憶がないですよね?だから…」

「空翔を好きになるのが怖い?」

「…!」


真由子さんの言葉に、コクりと頷いた。





「今、空翔さんのことを好きになっても…無くしてる記憶を思い出したとき・・・その気持ちはどうなっちゃうのかなって…私の無くしてる記憶は、空翔さんが関係してるらしいし」


その記憶がいいものだったらいいけど、

もし悪いことだったら?


私が今空翔さんに恋をしても、記憶を取り戻したら辛いだけだよ。





「そうよね…その気持ちはわかるわ…でも、浅海ちゃんが失ってる記憶は、悪いものではないと思うのよね」

「…そうですか?」

「うん…確証はないけど、そんな気がするの…まあ、すごくhappyなことではないとは思うけど、浅海ちゃんと空翔を直接結びつけることではないと思うわ。もっと別の悲劇が起こったんじゃないかな?そこに、浅海ちゃんと空翔が関わってるのかも」

「・・・・・」


本当なんなんだろう…

早く記憶を戻したいよ。





「空翔ってね…私とももう結構長い付き合いになるけど、明るさの裏にいつもどこか影がある奴なのよね。それは決して言わないけど、きっと浅海ちゃんが無くしてる過去の記憶にそれがあるんだと思う。あいつ…浅海ちゃんのこと、血眼になって探してたから」

「・・・・・」



空翔さん…





「多分…その過去は、楓雅は知ってると思うの。あの2人は生まれたときから一緒で、兄弟みたいなもんだし…でも楓雅が私にも話さないんだから、よっぽどのことなのかもね…」

「そうですね…」


あれだけ信頼し合ってる真由子さんに、楓雅さんが言わないなんて…

一体どんなことなの?





「だけど、それとこれとは別よ。浅海ちゃんが空翔のことが好きなのは、それはそれ。その気持ちを止める必要はないわよ。せっかく相思相愛なんだもん…あいつのことが好きになったなら、それを大事にしないと」

「ちょ、ちょっと待ってください…相思相愛ってなんですか?」

「………は?」



目を点にする真由子さん。





「え、だから…相思相愛って・・・・一体…」
「…………それ本気で言ってる?」

「…………」


目をパチパチさせる真由子さんに、言葉を失ってしまった私…
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