一途な彼は俺様モンスター
「ごめんね」


友達に謝ると、その友達は何も言わずに走って行ってしまう。

この時悟った。

もうこの子は、私とは遊んでくれないって…



「じゃあ帰るぞ」

「…うん」


父に手を引かれて、家に向かって歩き始める。


私は産まれたときから、こんな過保護過ぎる生活を送っていた。

私に流れるこの血のせいで…




「あ、お父さん!お花つみたい」


帰り道に咲いていた白くて小さな花を見て、せめて花だけでも欲しいと思った。





「ダメだ!その花は毒を持っている」

「ドク?」

「そうだ。見た目は可愛らしくてきれいだが、あれは“美毒花(びどくばな)”といって猛毒の花だ。咲いているだけなら何もない害はないのだが、口に入ったら最後…死んでしまうんだよ」

「そうなの…」

「その花をつんで仮にお前が手を洗っても、もし手に毒がついていてお前の体内に入ったら大変だ。…この花は駆除しても駆除してもこうやって咲き続けている。まあ今の所は事故はないからいいんだがね」

「ふーん」


私はその花を見つめた。




「さ!帰ってお父さんと遊ぼう!この前買ってあげたおもちゃで遊ぼうか」

「うん…」


美毒花を見つめ、お父さんと渋々家に帰る。



つまらない毎日。

もっと友達と遊びたい。

好きなことをやりたい。


こんな体いらない。

正直、自分の体に流れている血がずっと妬ましかった…



だけど…

一族で山に薬草を取りに行ったある日、私はある男の子に会った。








「なにやってるの…?」


休憩中に一人で川原へ遊びに行ったら、男の子が一人で川に入って体を洗っていた。




「…」


私の言葉を男の子は無視して、川の水を体にかけている。




「ねえ!わたし浅海っていうんだけど…よかったら遊…………きゃ!」


ザッバーンッ



岩場にいた私は足を滑らして、勢い良く川に落っこちた。

泳いだことのない私は、初めて入った川に焦りバタバタと手足を動かしていた。





「あ、浅海!何やってるんだお前っ!」


お父さんの声がする。





苦しい…

冷たい…



必死でもがきたがら、体を動かしていると…





ぎゅ




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