愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「ああ、待ってる。瑠璃、幸せにね」

 優しい兄が至福の笑みを浮かべた。

「・・・お兄ちゃん、ありがとう」 

 兄の言葉に涙が頬をつたった。

「相変わらず泣き虫だな。俺は拭えないから誉にお願いしろよ」

「うん、お兄ちゃんも赤ちゃん生まれたら教えてね」

「ああ。誉頼んだぞ」

「また連絡する」

 誉は私の涙を拭うと、兄に軽く手を振った。

「ちょっと感動的なシーンの邪魔して申し訳ないんですけど、もう始まってます」

 片山くんに言われてお寿司のカウンターの方を見ると、みんな座ってお寿司を堪能していた。

「少しぐらい待てないのか?誠二も颯も中トロばっかじゃないか」

 さては自分が中トロを食べたくてこれを企画したな。

 誉は中トロに目がないのだ。
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