愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 普段は私にはすごく意地悪な誉だが、親友の妹ということもあって私を攻撃するものからは守ってくれる。

 その証拠に、誉は気にするなというように私の手をギュッと握り締めた。

「悪いが、婚約者がいなかったとしても、あなたには全く関心がない」

「納得いきません。有栖川のおじい様は私を誉さんにって。私との結婚は双方の利益になります」

「クリーンな政治家ならね」

 誉は意味ありげに呟く。

 その目は伊集院議員を見据えていた。

「いずれにせよ、僕にコネや後ろ盾は必要ありませんよ。今回の事で有栖川をつぶす気なら、止めた方がいい」

 政治家生命絶たれますよ。

 冷ややかな眼差しで、誉は残酷に告げ、私の腰に手を回すと立ち上がる。

「ご足労頂いたのに申し訳ないが、僕はこれで失礼しますよ」
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