愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
 一ノ瀬くん、炭水化物とるのはいいけど、もっと野菜も食べた方がいいんじゃあ?と、お母さんのように言いたくなる。

 性格出るなあ。

「瑠璃さん、ご飯よりケーキの方が多くないですか?」

 私のトレイの半分がケーキで占められるのを見て、片山くんが目を丸くする。

「エヘヘ、誘惑には勝てなくて」

片山くんの指摘が恥ずかしくて笑って誤魔化すが、彼は優しくフォローした。

「女の子はケーキ好きですもんね」

「俺、見てるだけで胃もたれしそう」

 一ノ瀬くんが顔をしかめ、私のトレイから目を背ける。
 
 みんなで頂きますをして楽しく食事をしていると、社内で一番会いたくなかった人物の声がした。

「海外企画室って居心地いいみたいね。隣いいかしら?」

 げっ、お局!

 彼女は後輩の秘書と一緒だった。

 社長秘書の西園寺麗子は高飛車でとっても性格が悪い。

 しかも男好き。

 席がまだいっぱい空いてるのに、なぜ片山くんの隣に座ろうとする?

 それを見た後輩がちょっと引いている。
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