大っ嫌いなアイツに恋をした。
「……何でって俺は」
「あたし、橘と仲良くなれて何か嬉しかったよ。でも…やっぱりもう仲良くなれない」
「は…?何だよそれ」
さっきとは打って変わって硬い表情をする橘。
あたしはきっとさっきの子供たちのように橘をあんな笑顔にすることは出来ないんだろう。
「橘のそういう軽いとこ…嫌い。大っ嫌い。別にこんなことするの…あたしじゃなくていいよね。それにあたしじゃない方がいいんじゃないの」
そう言うと、橘の顔はもっと険しくなる。
「からかって遊ぶのは自由だけどこんなの…」
「からかってねぇし、遊んでもねぇよ」
顔をあげるとやけに真剣な表情の橘。
「じゃあ、どうしたらお前に伝わんの。俺だってこんなの初めてでわかんねぇんだよ!」
橘はそう叫ぶとあたしに傘を押し付けて走り出してしまった。