大っ嫌いなアイツに恋をした。



「……橘、?」


いつの間にか泣いていたあたしの涙を強引に拭うと自嘲気味に笑った。



「あーあ、もうちょっとで落とせると思ったのによ。しょうがねぇ、お前の勝ちでいいわ」


何を言っているのかあたしにはサッパリ分からなかった。


「足立と賭けてたんだよ。お前をオトせるかって。なのに、泣かせるなんてな。よっぽど嫌われてんのな俺」


橘はあたしから視線を逸らして言う。



「何言ってんの?あたしは…っ」



「もう必要以上にお前には関わらねぇ。今まで散々からかって悪かったな。お前の言った通り、全部無かったことにして」


橘は最後まであたしから目を背けたまま資料室を出て行った。



何なのよ……意味わからない。


足立くんと賭けてた?


何それ。


「やっぱりヒドイよ……」


自分の気持ちに素直になろうと思っていたのに。

橘の気持ちはニセモノだったんだ。




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