大っ嫌いなアイツに恋をした。





本当、大っ嫌いだ……バカ



鈍い音を立てたあと、橘は地面に突っ伏した。



「…ってぇなっ!マジで殴るヤツあるか!つーかグーでやりあがったな!?」



橘は頬を抑え立ち上がる。


いつもの橘の様子に、あたしは心底ホッとした。



「殴れって言ったのはそっちでしょ!手加減したら悪いと思ったのっ!」



「だからって、グーはねぇだろ!ちょっとは女らしくなったと思ったのに…変わってねぇな」



フンッと笑う橘になぜか涙が浮かぶ。


ああ、これでいいんだ。

あたしたちはアホみたいな喧嘩してる仲でいいんだよ。


それ以上……望んだらダメなんだよ。




「……気まずくなるからって、学校休むとかやめてよね。ちゃんと…学校来て。あんたいないと…暇潰しなんないから」



「フッ、何だよ?俺がいねぇと寂しいんだ?」




そうだよ、寂しいんだよ、アホ。






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