ブンベツ【完】


私はアルバイトを人生の中で一回もやったことがなかった。

高校に入ってから親に何度もやりなさいとは言われてたけど、ズルズルと引きずり気づけば高校最後の夏を迎えていた。


周りの友達はやってる子が多くて、バイトというものがどんなものなのか色んな話は聞いた。
もうこんな時期だし高校生活には無縁のものだったと定義づけてた。

だけど今から2週間前。
学校の帰宅途中、あまり盛んじゃない小さな駅で勧誘を受けたのがきっかけに過ぎない。

『君、俺んとこで働かない?』

一瞬新手のナンパだと本気で思った。

『あ、違う!全然怪しくねぇし俺!!善人だし!!リアルがち善人だし!!』

ぱっと見20代前半のその男の人は『今うちの店が超経営困難で君みたいなピュアな子が必要なんだけど』と言われ、半ば強引にここに連れて来られた。


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