ピッキング・カルテット
新しく入ってきた清掃員のおばちゃんかも知れないと思いながら、
「次からは気をつけます」

夏々子は彼女にそう言うと、去って行った。

向かったところは社長室である。

社長室にはすでに瑛太と桑田がソファーに腰を下ろしていた。

「ああ、なっちゃん」

宗助がティーセットを乗せたお盆を持ってやってきた。

透明なポットに入っている色の様子を予想すると、今日はミントティーのようだ。

「ソウちゃん、今朝のニュース…」

ソファーに腰を下ろしながら話しかけてきた夏々子に、
「ああ、知ってる」

宗助はタブレットを出すと、指で画面をタップして表示させた。

“夜中にL区の住宅で火事 50代男性が死亡”

見出しからして見ると、ただの火災事件である。
< 251 / 538 >

この作品をシェア

pagetop