年下くんの事情
「すみませんが、私、さっき、雨の中濡れて帰ってきてしまったので、
これからお風呂に入る所だったんです。 良かったら家の近くまで来てもらえたら
その間に入っておくので・・・・・・ダメでしょうか?」

ああっ また怒られるっ。
麻理子は目をぎゅっと瞑り、龍の下す審判を待ち続けた。

「いいですよ。場所は・・神戸でしたっけ?」
「あ・・いえ、大阪です。神戸は実家でして・・。」
「じゃぁ一人暮らしなんだ?」
「はぁ・・・まぁ・・。」
「じゃぁ、麻理子さんの家に行けばいいですか?」
「ええ?! ・・・ちょっと・・・それは・・・。」
「ん?」
「家の近くと言っても・・・バイク置くとこがないとねぇ」
「近くに食べ物屋か、居酒屋とか無い?」

龍は女性の部屋に入る事がどういうことか、理解していなかった。
まるで同姓の友達の部屋に遊びに行くような感覚で話す。
そんな龍に麻理子は安心していいのか、どうなのか困った。

「えっとーーー居酒屋は・・・駅まで行けばあります。」
麻理子のこの答えに、龍は
「では 駅で待ち合いましょう。」と、麻理子の家から近い駅名を聞いて電話を切った。
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