ASIN(微BL)
幼馴染みなあいつ

「えっ、鷹女形辞めちゃうの!?」

「やーめーなーい。ただちょっとお休みするだけだよ」


 ある日の日曜日、この日は学校も休みで修練も午後からだったから俺は神宮家から徒歩数秒の距離にある幼馴染みの家に遊びに来ていた。

 俺が先日あった事を奴━━吹田遥━━に相談があるんだけどと前置きをした上で話始めると、最初は頷きながら黙って聞いていた遥も俺が芸能事務所に入るといえば驚いた様に猫のような大きな瞳を瞬かせた。


「でもうちの事務所入るってことはそうなんじゃないの? 神宮のじっちゃんどっちつかずみたいなの嫌いだし」

「どっちつかずっていうか、俺は、ただ立花鷹として何かしてみたいって言うか……」

「何かって何を? 歌手とか俳優とか?」

「う……それはまだ決めてないけど」



 遥も小さい頃からモデルとしていろんなCMや広告で活躍していて、歳は俺の一つしただけど芸歴は上。今は貴文さんの事務所でタレントとして所属している。

 ジャンルは違えど同じ表現者として型にはまらない活動する遥を幼心に羨んだ時もあった。まぁ今では笑い話だけど。


「SAGINの先輩達が解散してからは歌手活動してる人今いないしねぇ。トナミ兄ちゃんはミナト兄ちゃんと海外行っちゃったし、シーナさんは家の病院継ぐために完全引退してイギリス帰っちゃって」

「悠太さんと蘭さんは俳優に専念したんだっけ」

「そうそう。他の三人がいないならもう歌わないって。樹くんも完全引退しちゃったしね」

「そっか……じゃあ今貴文さん大変なんだろうな」


 もともと所属タレント自体少なかったのに。売れっ子の人達がいなくなっちゃったんじゃ事務所経営成り立たないんじゃ……。


「まぁでも鷹がうちに来るんなら結構話題になりそうだよね。なんたって女形歌舞伎の名家・神宮家の雛結だもん」


 神宮家の雛結……か。


「それなんだけどさ遥」

「え?」

「俺、もしMeeting事務所にお世話になることになっても神宮の名前は名乗る気ないんだ」

「ええ!? なになに、なんで? 芸能界の重鎮で権力の塊みたいな神宮家だよ? 使わなきゃ損じゃん!」






 

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