くれなゐの宮

…話は思った以上に長く続いた。


アヅマ国の出身であること、元々剣術の師範をしていたこと、6人家族であること、好きな食べ物はタラの芽の天ぷら…これはさすがに理解してもらえなかったが…
故郷にはとても美しい街並みや、自然があり、四季折々の美しい風景がみられるということ…。


「お前の故郷はとても素敵なところなのだな。私もそのサクラとやらが見てみたい。」


優しく微笑む彼女をみて、ふいにドキリとしてしまう自分がいた。

それ程までに彼女は完璧と言っても過言ではないくらい容姿端麗で、表に出ないなど損をしているとしか言いようがない。

するとそんな彼女は立ち上がると、突然俺の手を取った。


「今度は私がおまえに伝える番だ。」


紅色の瞳を輝かせ、おれを部屋の外へと連れ出そうとする。

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