誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「メールばかりしていて、お仕事大丈夫なんですか」


 さすがに気になって尋ねた。


 仕事中にメールにふけっていると、スタッフなどに呆れられて信頼を失い、後々の仕事に影響が出るのではないだろうか。


 「今、待機時間なんだ。今日の撮影はまだ始まっていなくて。心配してくれてありがとう」


 私も一人列車の中、特にすることもなかったので、そのままずっと和仁さんとのメール交信を続けた。


 「理恵は今、実家に帰る列車の中なんだね。僕たちが始めて出会った街だね。こっちまで懐かしくなるよ」


 私も、三年前の雨の夜は忘れられない。


 忘れることもできない。


 「あれから街並みとか変わったのかな。いつの日かまた行ってみたい」


 すぐに行きたいといわれたらまずいので、その話題はそれとなくスルーしたのだけど、


 「明後日で撮影も終わり、帰宅予定だから・・・それから理恵を追いかけて行きたい気分」


 やはりそう来たか。
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