誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・それから間もなくして、和仁さんはこの街への長期出張を終え、札幌へと帰る日が近づいた。


 「リエに毎日会えなくなるのは寂しいな」


 「・・・」


 それは私も同じだった。


 でも私は決意していた。


 これっきり、終わりにしようと・・・。


 (やっぱり不倫はよくない)


 そういう思いが私の心の中を支配していた。


 妻子持ちの人とこのままズルズル関係を続けても、未来はない。


 家庭を壊すのも本意じゃない。


 (お別れしよう・・・)


 決意していた。


 なのに和仁さんに愛されてしまうと、それをはっきり口にできなかった。


 流されてしまう。


 「向こうに戻っても、電話やメールをするよ。折を見て会おう。・・・リエは札幌の大学を狙ってるんだよね?」


 「・・・努力はしている」


 「大学生になったら、正式に付き合おう。年の差なんてどうでもいいよね」


 「!」


 正式に、愛人関係にってこと?


 私には無理だった。
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