誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「無理だよ私。専門知識なんてないし」


 私は焦って、両手を顔の前で振った。


 「登録してテンプレートを選択するだけで、後は簡単だよ。携帯からでもアップできるし」


 「毎月の使用料とかは」


 「基本無料だよ。今度試しにやってみたら? 最近寺本さん、携帯であれこれ撮影してるじゃない? 公開してみたら?」


 「・・・」


 実は私も。


 あれ以来、身の回りの風景などをちょくちょく撮影する習慣が身についていた。


 画像は携帯に自動的に保存されるだけなので、たまに自分で見直すだけ。


 ここへ出かけた時はどんな天気だったとか、どんな出来事があったとか。


 忘備録っぽく書き残しておきたかったし、感動を誰かと分かち合いたい場合もあった。


 「確かに、面白そうかも」


 興味はあったけど、やはり予備知識が少ないので、今度和仁さんに会った際に相談してみようと思った。


 佑典は・・・私までも撮影ということに興味を持っているなんて知ったら、あまりよくは思わないと予測されたので、言うべきではないと判断した。
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