誘惑~初めての男は彼氏の父~
 そんなに長く時を共にしたわけではないのだけど、少しの間とはいえ夢中だったのは事実。


 今頃どこで生きているのかな、何しているのかな・・・などと時折思いを巡らしてしまう。


 もしも偶然どこかで出会ったら、笑顔で挨拶できるかな・・・。


 誰もが羨む、優しくて見た目も申し分ない彼氏が隣にいるにもかかわらず。


 私は密かに、昔の男に想いを馳せている・・・。


 「あ、佑典。いいのに」


 「いいってば。俺に払わせて」


 財布からお金を出す直前に、佑典が支払いを済ませてしまった。


 注文したのは私なのに。


 「さ、行こうか」


 手渡されたピザ袋を手に、佑典は先に店を出た。


 そして私を助手席に乗せ、出発。


 行き先は、


 「次はDVDレンタル店に寄るね」


 「うん」


 「今夜、うちの親は出張だから。気兼ねなく居間の大画面テレビで鑑賞できる」


 「・・・」


 この日、佑典のお父さんは遠くに出張しており、泊まってくるらしい。


 親が留守の家に招かれて、どういう展開になるかは何となく予想していた。


 時期的にも順序的にも・・・そろそろかなって予感はしていた。
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