誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ただし・・・。


 和仁さんとの関係は、否定しようがない事実であるため、あまり周囲を刺激したくないという思いもあった。


 あと私は確信している。


 噂の出所は不明だけども、噂を面白おかしく加工して流布しているのは内村さんたちであると。


 佑典にそのことを告げようとして、躊躇した。


 まず証拠がない。


 SNSは外部の者は覗けない設定になっているため、証拠を押さえられない。


 それに佑典は・・・内村さんを信用し切っている。


 私に無礼な仕打ちに出てくることを訴えても、それは部のためを思っての熱心な行動程度にしか捉えていない。


 彼女が自分に想いを寄せているとなど、予想だにしていない。


 そんな状況下で、私が内村さんへの疑惑を口にすると・・・悪口だと受け止められる危険性がある。


 佑典を裏切っているのは事実なので、あまり事を荒立てたくないという気持ちもあり、内村さんへの疑念は胸にしまいこんだ。


 「俺、理恵を信じているから」


 その言葉への感謝の念として。


 真夏の木洩れ日の下、私はそっと佑典に寄り添った。
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