野球してる君が大好きです。

キス*

その日は三吉先輩が
家まで送ってくれた。

家の場所もどんなところかも
知られてしまったけど
三吉先輩は秘密にすると
約束してくれた。


__翌日。部活後。


今日も、陽斗は用事で
一緒に帰れない。
私は昨日決めた。

少し距離を置きたい。

私は陽斗のロッカーの中に
一枚の紙をおいた。

内容は

「陽斗…少し、距離を置きたい。
だから、別れよ…」

という内容だ。


最後に返事はメールで
送ってと書いたので
たぶん、送ってくるだろう。


今日も三吉先輩が一緒に帰ってくれる。

(ピロロン…ピロロン…

メールの着信音だ。
その時、三吉先輩はまだ
帰宅準備をしていたので
一緒にはいなかった。

そのメールはもちろん
陽斗からだった。


「…わかった」

単純にわかったって書かれると
こっちとしては少しだけ傷つくけど、
言い出したのは私だから…。

長続きしなかった。
私のせいで。

だから、返信の時に
「ごめんね、陽斗…」
と書いておいた。


涙を流す私の元に
三吉先輩がやってきた。


「ほ、のか…ちゃん…?」
泣いているところを見られた。

「三吉…先輩…」
「どないしたん?」
涙を拭いながら心配してくれる。
昔の陽斗みたいに…。

「ごめんなさい。もう、大丈夫です」
そういって
私は三吉先輩の横に並ぶ。

「そ、そうか?」
「はい」
「ほな、いくで」

そういった三吉先輩は
あの大きな手で
私の手を握り
家まで歩いて行った。
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