キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

「コタロウ、おいで!」

「えっ?」


私の呼びかけに、コタロウはするりと先生の手元を抜け出し、私のところにやってくる。


「こんな先生ほっといて、ふたりで遊ぼ!」

「えっ、待った待った!ごめん!謝るから、俺もコタロウと遊ばせて!」


私の“虎谷先生仲間外れ発言”に、虎谷先生は慌てたような表情を浮かべた後、子どもが遊び足りないと言うような表情を浮かべ、私のことを悲しそうな瞳で見つめてきた。


「なぁ~坂本さん。お願い」

「っ!」


私を見てくる表情がやたらとかわいくて、私はうっと言葉に詰まってしまう。

~~もう、何なの!?

こんな表情をしてくるなんて、先生はズルすぎる!

完全に心を奪われてしまった私は、結局それ以上は何も言えず、はぁと息をついて「……わかりました」と伝えるしかなかったのだった。

そしてその言葉を聞いてぱっと浮かんだ虎谷先生の満面の笑みに、私がやられてしまったことは言うまでもない。


……ちなみにコタロウは虎谷先生に撫でられてゴロゴロと気持ち良さそうな声を出しながらも、虎谷先生の腕の中で、ちょっぴり不機嫌そうな表情を浮かべていた。

 
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