車内恋愛。
「私、本当にあの教習所に通って良かったです。どの教官も面白くて、優しくて。」


もし、他の教習所に行ってたら…
って考えられない。


「教習所って、なんだか怖いイメージがあったんです。友達とか、教官が怖かった、とか、嫌で何ヶ月か行ってない、とか言ってたから、そういうイメージで…。

だけど、いざ通い始めたら学科も技能も楽しくて。
今日はどんな人が担当してくれるのかな〜、ってバスの中でわくわくして、カードを機械に通して。

初めは予定を詰めて、早く免許を取ろう!って思ってたのに、通い始めたら楽しくて、ずっと通っていたくなっちゃって、一日に受ける時間を少なくしたり、ってなってました。」


だって、瀬口先生に会えたから…。




「教習所に通って、旬さんに会えて、本当に良かったです!」







ぎゅっ…






私は優しい温もりに包まれた。






「花火見に来たはずなのにな。さっきから未玖のことしか見てないよ。」



花火の打ち上がる音が聞こえる。
花火の明かりに照らされる私たち。


「俺も、未玖がうちの教習所に来てくれて本当に良かった。今が幸せで、更に好きになっていってるよ。」


旬さんは少し体を離して、私の方をじっと見た。

「…もう可愛すぎ…」

そう言って私の頬を触った。



旬さんの顔が近づいてくる。



思わず目を瞑る…。










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