車内恋愛。
まずは助手席に。

「目線が近いってのは、なんか気になっちゃう?」
「んー、多分、曲がったりしたときに線からはみ出してないか、とか、前がぶつからないか、とか気になってるのかもです。」
「あー、そっか、確かにね。前は錯覚を生むからね。」

「じゃあ、発着点から早速乗り替わって始めましょか。シートベルトして下さいね。」

瀬口先生が手際良くエンジンをかけ、「ミラーよし、右よし」と言いながらササッと車を回して、着地点へと移動させる。
思わず、ほーってなる。

ーかっこいい。

そう思った。


「はい、乗り替わりましょか。」
「はい!」

クルッと回って運転席へ…。

「乗る前に…??」
「え…っと。」
なんだっけ?

「一応、車の前と後ろを確認しましょね。」
「あ、はい。」
「検定のときとか、見られるからね。要注意。」
「それは気をつけます…。」

運転席に乗り、シート、ハンドル、ベルト。

エンジンをかける。次はチェンジレバーをパーキングに…?と手を伸ばす。
「あれ…先にやることは?」

「え、あ、んーと…。」
「まずは、合図。」
「あ、そうだった!右に合図出して、それから…。」
「そうそう。」
「まだこの順番に慣れないです…。」

「合図出さないといきなり動き出したら後ろの車がびっくりするからね。そう思って、先に合図を出しましょ。」
「はい…。」


すごく私にわかりやすく説明してくれる。
なんで、私が覚えられないのか、全て見通してるかのように。
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