紫季と惺

レストラン

「こんばんは。」


「こんばんは。紫ちゃん。メールありがとう。今日の夜とか、急過ぎだった?」


「まぁ、急でした。今日の夜は、たまたま、空いてたけど…。」


「紫、結構言うねー。…」




 あ、しまった。


 謙虚な態度で、いくべきだった。




「らさき、紫ちゃん、聞いてる?」


「あ、ごめんなさい。聞いてなかった…。」


「じゃ、俺が、さっき、言った言葉も聞いてなかったのね。」


「ごめんなさい…。」


「せっかく、愛の言葉、囁いたのに…。」


「えっ、あー、ごめんなさい。」


「愛の言葉は、嘘だから。」


「えっ。」


「ごめんねー。あと、明日から少し忙しくなるから、今日の夜しか、空いてなかったんだー。ごめんね。さぁ、何、食べる?」


「あ、えっとですね、じゃ、このパスタのセットを…。」


「…OK。」





 惺は、軽く微笑して、ウェイターに、私のと自分のとを注文した。







「あー!」


「どうしたの?紫?」


「えっと…、なんでもないです…。」




 私は、自分のカバンの中を漁りながら、言った。




「わかった。でも、お金のことなら、大丈夫だよ。俺が払うから。」


「でも…。」


「気にしなーい。」
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