紫季と惺

来る

「来る?」


「俺の家に来る?」


「えっ?」


「だって、紫は嫌なんでしょ?自分の家に来られるの。携帯で話してても、料金とか、かかるし。俺の家来たら、料金かからないし、俺の家で、ゴロゴロできるでしょ?」


「うーん。でも…。」


「俺の家、紫の家から結構近いし。」


「私の家、教えた?」


「まぁ、まあ。」




 まぁ、まあって何よ!


 何か…。




「うーん…。」


「来ること、決定ね。」


「決定?決定されたの?」


「されたみたいだね。」


「みたいって…。」


「あ、そんなに、最初会った時みたいに、濃いメイクじゃなくて、いいから。服も適当でいいし。」




 そんなに、前会ったとき、濃いメイクだったのか。私。まぁ、あれは、森山と頑張ったからなー。







「適当…。」


「実は、僕が紫に会いたいんだ。来て。」






 なんなのだ。この声音は。





「わかった。でも時間かかるよ。惺さんの家も、どこにあるかわからないし。一回行ったことあるけど。」


「OK。教えるね。」








 惺と私の家は、やっぱり近かった。


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