ニケに恋して・・・
「夢」を見た。
学生時代に戻り、卒業式の日に悪友と「コト」を仕出かす夢だ。

とても詳細は書けない、最低最悪な夢だった。

「夢」という曲がある。
THE BLUE HEARTSのシングル曲だ。歴史に名を残す偉大なバンドだが、この曲はWikipediaに刻まれても、歴史には刻まれないだろう・・・

「夢」を見ていた頃の話だ。
関東の田舎町から、港区白金台に引っ越した。まだ地下鉄も走っていない頃で、1Rが70000円で借りられた。

毎日毎日毎日毎日、自転車で外苑西通りを六本木方面へ。そして、西麻布の交差点から表参道へ。246と表参道が交わる交差点では、「なんて都会だ・・・」と毎日思っていた。

会社は原宿にあり、国内でもトップクラスのカメラマンのアシスタントが仕事だった。

仕事でパリへも行った。有名モデルに会うなんてザラだ。当時の言葉で「スーパーモデル」にも会った。

そんな世界だ、仕事は甘くない。
半年たった頃だ、「クビ」を告げられた。
「そんな・・・」なんて気持ちは無かった。

最後の撮影は、雨の日のハウススタジオで、大物ミュージシャンのジャケット撮影だった。同時にPVの撮影も入り、そちらのカメラはカメラにフィルムをつめる自分の手元をとらえていた。

会社に戻った。
「今まで有難う。これ少ないけど・・・」
家賃1ヶ月分、70000円が支給された。
内心「こんな金いるか!」と強がっていたが、頂戴した。この金は、この晩の飲み代に消えた。

会社の皆に見送られ、鍵を返し建物を後にした。

「さて、これからどうしようか?」

その晩に見たであろう「夢」は覚えていない 。

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